粟谷能の会
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3月3日はひな祭りです。最上段のお内裏様の位置、よく見ると座る位置が二通りあります。人形側になって言いますと、お内裏様が左に、右にお雛様が座る、これが順当だと思いますが、最近は逆に置かれていることもありますので、注意して見て下さい。

能の世界から考えると左にお内裏様が座られるのが正当だと思います。何故なら古来日本の風習では、左が偉く、大事だとされてきました。
例えば、左大臣、右大臣、どちらが偉いかというと、左大臣の方が偉いわけです。

能に、「左右(さゆう)」という型がありますが、本来は左右左といわれ、これも左から始まります。喜多流中興の祖、九代健忘斎古能公は「左右左(さゆうさ)は神楽の初め也」と伝書に記しています。神楽とは申楽の事、申楽は左右から始まるということです。

翁の太夫はまず本舞台に入り正面先に於いて左右左を行います。まず左を払い、次に右を払う、最後にまた左を払い深々と礼拝します。これが基本で露払い、千早振るという意味です。左右の型の動きは、両手を左から右に丸く旋回させながら、左手を身体の中央にて止め、足をねじり左へ向き出る、次に右手を上げながら左足を右足にかけねじり右へ出る、この動作を左右と言います。御幣も、左から払い清めます。

喜多流は地謡の地頭の位置も後列中央の左側(正面席側)が地頭で右隣が副地頭となります。
足袋は左から履く、舞台に出る時も左足からと教えられてきました。どうしてなのか?
確かな理由など判りませんが、もう身体に染み込んでいます。

内裏様をよく見ると太刀を佩(は)いているものがあります。太刀を佩いているならば尚更、いざ太刀を抜く時には左側に人がいないほうが抜きやすい、これで理屈に合います。

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ある偉い先生に突然「明生君、内裏様は、右、左どちらに座るかい?」と質問され、
「うーーー、左では?」と答えたことがあります。
「理由は?」とまた聞かれ、
今度は「ーーーーー」と黙ってしまったら、
「左にいればお雛様の御尻に触れるだろー」と、面白く解説してくださいました。
左が主(内裏様)であることを忘れさせない一言でした。

写真は「庄内ひな街道」から
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