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『国栖』では前段早々に作り物の船が出されます。竹で枠を組み、底と周辺に布を張っただけなので重量はないものの、シテとツレが乗る程の長さがあるため、舞台には後見が二人がかりで運びます。
写真でご覧いただけるように、すり鉢状に縁が張り出しており、面装束を付けての乗り降りは難しく、通常の船よりは注意を払っています。また、船に布を張る場合、底の部分は格子状に枠を組むので、この枠組みが運び(摺り足)の邪魔になることがあります。喜多流では『国栖』の船に使用する布は『殺生石』の岩などに用いられるものと同じで、写真のような萌黄色です。
鮎の段が過ぎて追っ手のアイが登場する前に、子方扮する天皇をかくまう場面があります。船をひっくり返して、しばらくの間、床を這うように身をかがめた子方を覆うように隠すので、子方にとっては難儀な曲と言えるかも知れません。
喜多流で布を張った船を出す曲は『大蛇(おろち)』と『国栖』ですが、船の中に乗るのは『国栖』だけです。『兼平』『竹生島』『鳥追船』『船弁慶』などの舟は形状が異なり、布を張らないで、枠組みに帽子(ぼうじ)を巻いただけの形で登場します。

国栖の船

船の中

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